障害者の就職を促進する障害者雇用納付金制度
障害者の就職に影響を与える障害者雇用促進法
年々、増加する障害者の就職者の数ですが、これに大きく貢献してきたのが「障害者雇用促進法」の存在です。
この法律が制定されたのは1960年で、今から約60年以上前のことです。以来、時代背景やニーズに合わせて幾度も改定されてきました。1976年には身体障害者の雇用が事業主の義務になり、1987年には知的障害者、2006年には精神障害者も適用対象となるなど、その度に環境を整備する事業主に大きな影響を与えてきました。
この制度は、従業員を常時100人以上の事業主に常時雇用する従業員数の2.3%以上(これまでの2.2%から2021年3月1日に引き上げ)の障害者を雇用することを義務づけたものです。しかし、雇用するには作業施設や設備の改善、あるいは特別な雇用管理が必要となり、他の雇用と比較すると一定の経済的負担を伴うことがあります。
そこで、この経済的な負担を調整するために、また、障害者の雇用促進などを図るために設けられたのが「障害者雇用納付金制度」です。
法定雇用率を達成した企業には「障害者雇用調整金」が支給
この「障害者雇用納付金制度」は法定雇用率に未達成の事業主に対し障害者雇用納付金の納付を義務づける制度です。法定雇用障害者数に不足する人数に応じて1人につき月額5万円が課せられます。
徴収対象企業は、従来は301人以上の事業主でしたが、2010年7月1日から200~300人以下の中小企業も適用対象となり、さらに2015年4月1日からは常時雇用している労働者が100~200人以下の事業主にも適用されました。
一方、常時雇用労働者数が100人以上の事業主で法定雇用率を超えて雇用している場合には、超えている雇用人数に応じて1人につき月額2万7000円の障害者雇用調整金が支給されます。また、100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数を超えている場合にも報奨金として月額2万1000円が支給されます。
雇用する事業主とそうでない事業主の経済的なアンバランスを是正するためにこれらの制度が設けられました。こうした各種助成金を利用することによって、企業は積極的な雇用を進めることができます。