障害者職業総合センター研究部門の取り組み
共生社会の実現をめざした「基礎知識」
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターでは、職業リハビリテーションの推進とサービスの質的な向上に貢献することをめざして、職業リハビリテーションに関する調査・研究、効果的な職業リハビリテーション技法の開発、職業リハビリテーション施設の運営・指導、職業リハビリテーションに関する人材の育成などの業務を行っており、調査研究の成果を報告書などの形で取りまとめ、関係者に提供しています。
同センター研究部門では「保健医療、福祉、教育分野における障害者の職業準備と就労移行等を促進する地域支援のあり方に関する研究(2014~2016年度)」として全国の地域関係者・専門職の実態調査を行い、就労支援に関わる地域関係者における共通認識として特に確認しておく必要がある内容をまとめ、「障害や疾病のある人の就労支援の基礎知識~誰もが職業をとおして社会参加できる共生社会に向けて」と題したマニュアルを作成しました。
この基礎知識は共生社会に向けて障害者就労支援の関係者が広がる中、分野・機関・職種を越えて共有できる共通目標(Why?)、就労支援のポイント(How?)、それぞれの専門性を活かした具体的取り組みのヒント(What?)を、日本における実態と課題を踏まえてまとめたものです。初めて障害者就労支援に取り組むこととなった専門職、当事者、事業主と、従来では対応が困難だった課題に新たに取り組むことになった就労支援経験者などの活用を想定しています。
障害者就労支援のあり方の共通基盤づくり
同マニュアルは「障害者就労支援とは?」からはじまり、その共通目標、支援のポイント、役割分担・連携の方法、障害特性を踏まえた支援の方法、もっと知りたい方に向けた相談先や情報源の紹介などから構成されています。
まずは「Why?」として、なぜ就労支援を行う必要があるか、日本における就労支援の歴史や意義、共通の目標などの基礎的項目を解説し、その重要性を挙げています。
次に「How?」として就労支援の具体的な方法に関するポイントを列挙。職場環境の整備やできること、できないことを考慮した仕事の切り出し、仕事や職場とのマッチング支援などについて説明しています。
最後に「What?」として、支援のための役割分担や連携、障害特性別の支援方法、職業生活における障害の理解と本人とのコミュニケーションの重要性などについて解説しています。
同センターでは、このマニュアルを利用してワークショップなども開催しています。